太陽光発電は発電時はもちろん、たとえ故障しても動きや音がほとんどない発電方法なので、故障に気付くことが難しい発電方法とも言えます。
トラブルや故障が少ないことからメンテナンスフリーのイメージを持たれることの多い発電方法ですが、これまでのTYマガジンでもお伝えしてきた通り、長期間安心して使用し続けるためには定期的なメンテナンスは非常に重要です。
今回のマガジンでは、当社が実際に行っている点検の一部「太陽光パネルの点検」と、点検に用いる「機材」の一部についてご紹介します。
当社の太陽光発電施設の点検作業は、基本、天候が晴れ(もしくは曇り)の日に、2~3人(最低2人)のスタッフが協力して行っています。
今回、マガジンの取材に協力してくれた当社スタッフは電気主任技術者の資格を持ち、AC(交流)とDC(直流)の両方を扱うことができます。
それでは早速、点検に使用する機材と、作業風景を交えながら説明していきます。太陽光パネルの点検のほとんどは、この「接続箱」から点検ができます。
パネルに繋がっているケーブルが集約されている接続箱
まずは、電流と電圧を測定をします。このクランプメーターを使用することで回路を切断することなく、配線やケーブルにセンサ(クランプ)をはさむだけで電流の測定ができます。また、計測した数値は記録(機材によっては自動記録)して、データとして管理します。
(左)電圧を計測/(右)電流を計測
この機材を使用して、太陽光パネルの絶縁抵抗値の計測を行います。絶縁低効率が低くなると、漏電や感電の恐れがあるため、重要な点検となります。
太陽光パネルの絶縁抵抗測定用に設計されたこの「IR4053」は、たとえ発電中でも影響を受けずに、正確な絶縁抵抗値が測定できます。
ストリングチェッカーを使用して、太陽光パネルの故障をストリング単位で特定できます。自動測定機能で、点検効率が高いのが特徴の機材です。
この太陽電池アレイテスターは、太陽光発電装置の接続箱のプラスとマイナス、アースの端子に測定端子を当てて測定します。10〜20秒で、どの太陽光パネルが故障しているかが装置に表示されます。
この機材は、太陽電池の発電量(I-V特性)を測定でき、太陽電池モジュールの電気的ストリング異常を検知する機材で、ストリングごとの内部抵抗値の測定も可能です。この機材を使用することで太陽光パネルの障害を素早く検出することができます。
このサーモグラフィカメラを対象物に向けると、赤外線、可視光、およびスーパーファインコントラスト(MSX)画像で、正確な温度を確認することができます。この機材を使用することで、太陽光パネルの過熱(または過冷)している異常箇所をすぐに確認することができます。
パネルの温度が一目瞭然
また、規模の大きさによってはドローンを使用したサーモグラフィ点検も行います。ただドローンを使用した点検は、その場(現場)で結果が出せないため、当社では規模の大きい発電施設でのみ使用しています。
今回は、太陽光発電施設の「太陽光パネル(モジュール)」の点検についてお伝えしましたが、この他にも、パワーコンディショナーや、パネルとケーブルの接続部、パネルを支えている架台の点検など、点検する箇所がいくつかあります。
太陽光発電施設のメンテナンスは、法的規制遵守はもちろん、発電効率、安全性、寿命、収益最大化など多くの側面に影響を与える重要な活動です。定期的なメンテナンス計画を策定し、適切に実施することは、施設の成功と持続可能性に不可欠です。