これまでのTYマガジンでも説明してきた通り、太陽光発電ではパネルに太陽光が当たっている時間「日照時間」の長さが重要になります。そのため、夏前の梅雨の時期は、どうしても発電量が落ちてしまいます。
「梅雨がない」と言われるここ北海道でも、同じ時期にスッキリしないぐずついた天気が続く期間があります。
今回のTYマガジンは北海道の梅雨に似た気象現象、「蝦夷梅雨(えぞつゆ)」について掘り下げてみたいと思います。
当社がある北海道は「梅雨」というものが存在しません。
日本全国で長く雨を降らせる梅雨前線が北上し北海道にかかると、前線が弱まって消えてしまうのが理由です。
気圧の境目に出現する梅雨前線
ですが、そんな北海道でも梅雨に似た気候になる期間があります。ただ、これは梅雨前線が影響しているものではなく、冷たく湿った空気を伴った「オホーツク海高気圧」が影響しているものと言われています。これが「蝦夷梅雨」の正体です。
オホーツク海高気圧が「蝦夷梅雨」の正体
比較してみると、「梅雨」の特徴は気温が高く、時に大雨を降らせながら、ジメジメとした気候が30~40日程度続きます。一方、「蝦夷梅雨」は、低い気温で主に小雨や霧雨を降らせながら、10~14日と、梅雨に比べると短く終わるのが特徴です。
梅雨と蝦夷梅雨の比較
ですが最近では、世界的な気温上昇の影響のためか、気温が低いはずの「蝦夷梅雨」でも、高気温になることがあるため、「梅雨」と「蝦夷梅雨」の体感での違いが明確で無くなってきている印象を受けます。
ちなみにこの「蝦夷梅雨」という言葉は、正式には定義されていないため、天気のプロ「気象庁」がこの言葉を公式に使用することはありません。そして、稀に梅雨前線が北上しても消えずに「梅雨」がそのまま北海道(南北海道)に上陸することがあります。道南の地方では、それも北海道に上陸した梅雨…すなわち「蝦夷梅雨」と呼んでいるため、同じ北海道内でも地域によっては「蝦夷梅雨」の認識に違いがあります。
「梅雨」、「蝦夷梅雨」どちらにしても、太陽の出る日照時間が極端に落ちてしまうため、太陽光発電事業所にとっては実に悩ましい存在であることは変わりありません。